「電波とどいた?」
2007/09版 その2

2007/09/15 (土)

体験版チェック (えろげ)

最近、メインで作業に使ってるノート (Thinkpad X31/PentiumM 1.4GHZ/MEM2G/ATI MOBILITY RADEON VRAM16M) では、前作ぐらいまでは特に問題なく動いてた各社のエンジンが軒並み もっさり重くなってしまいました……。吉里吉里、Exhibit、BURIKO、MAJIRO などの独立系はまだまだ大丈夫なのですが、Favorite とか ういんどみるとかの 社内エンジン系がVRAM32M 必須になっちゃって、たぶんメインメモリ間との大量の 転送が発生してしまっていてだめぽ。CPU/MEM ともにこのノートより弱いけど、 ビデオカードだけは良いデスクトップ環境では、いずれもさくさく 動いてくれます。ノートさんの買い替えどきかなぁ。

STEP×STEADY 体験版(LOVERSOUL)。 システムは吉里吉里ベース。オーソドックスに組めてはいるが 終了窓の差し替えなどの基本事項ができてないなど、レベルは高く無い。 あと、スキップが吉里吉里にしては異常に遅いのでスクリプトの組み方がなにか おかしい可能性が大です。演出的な特記事項もなさそうなのでさっくり終了

Sugar + Spice 体験版4月編(チュアブルソフト) システムは吉里吉里ベース。まだ全機能はそろってない&スキップまわり 制御にバグがのこってる気配ながら、プログラマの技能は十分高い印象。 吉里吉里使ってるところがどこもこのぐらい組めればねぇ^^; ゲームシステムは、とらはとかその時代的なつくりでわりと古くさい印象。 まだ未実装のどこでも告白システムで、はたしてどういった効果をあげることが できるのか。細切れのシナリオはデバッグ大変なうえに、よっぽどテキスト としておもしろくないと話の盛り上げには逆効果な気が。 絵は好みで、キャラクターの表情パターンは相当多いようですが、立ち絵 アクション系の演出要素は全く無いので、最近の作品としてはインパクトに 欠ける印象ありです。

はるかぜどりに、とまりぎを (SkyFish) システムは Exhibit。大きめ背景と疑似3D系処理、アニメ併用などなど。 あと、立ち絵系演出も冒頭部分では確認。ただ本文中では全然みあたらないけど^^; SD絵をうごかす処理とかもあり。演出がんばってます。 1点、立ち絵変更時にいわゆるトランジションでなくて、レイヤのα制御で 処理しているのか、瞬間でない場合に一瞬中間で消えてしまうのがちょっと 気になります。あと場所によってスキップがわりとつっかえるかんじ。

神奈備 体験版(Sunlite) これもシステムは Exhibit。多数ブランドへの展開をがんばってるの模様。 はるかぜどり〜と同様に、大きめ背景と疑似3D処理が行われています。 あと、目ぱち口ぱく処理もあって、キャラ立ち絵アクションも けっこう入れ込んである模様。おしむらくは絵のレベルがいまいち。 うお、めんどくさそうなはめ込み式の分岐選択処理だ^^; ということで中断。

はっぴぃ☆マーガレット!体験版(FAVORITE/CROSSNET) システムは独自(FAVORITE VIEW POINT SYSTEM)。 拡縮系表示がきれいです。疑似3Dなカメラ処理を意識した、 背景ぼかし処理やキャラの配置制御、各種効果の演出などもいいかんじです。 立ち絵アクション演出系も丁寧にいれこんであって好感触。 旧体験版チェックをしてみたところ、拡縮スクロール系演出はに ついてはすでに前作(ウィズアニバーサリィ)で普通に多用されていて、 今作からは立ち絵の細かい動き演出が追加されている様子。すばらしい。 冒頭の自転車のとこがちょっと冗長かなーと思ったけどそのあとの 展開はわりといいかんじでした。

ツナガル☆バングル 体験版(ういんどみる) システムは独自(CS2)。おお、3D背景も併用してる。カコイイ。 そして立ち絵をがしがし動してる演出が、前作以前よりぐぐっと増えてる気がします。 後ろむけ立ち絵や、SD絵の差し込みも効果的。どたばた風味をうまくだすにはこの技法 (立ち絵アクション+SD併用)はとても適してる気がしますね。 でもぱんつは無理にだしすぎだと思います(苦笑)。それからまきいづみはずるい(ぇ。 ういんどみるさんは、これだけよくできてると、あとはゲーム系UIにも力を いれると素敵なのになぁと思ったりします。

ぐふ、稼働中に3回ほど Vista さんが刺さった(大汗) 他の作品でも同じように刺さったので、たぶんデバイスドライバのほうが 悪いので、あとでデバイスドライバいれかえて続きをすることにします……。

アリスパレード体験版(ユニゾンシフト・ブロッサム) これは必須VRAM64M とかかかれてるくせに、16Mのノートで普通に動くんだよな^^; ただ、CPU パワーはなぜか食らいっぱで、このアプリ自体は特に重いと感じ ないんだけど、ほかのアプリがだだ重に。謎。拡大縮小系演出と、 カットイン系、あとキャラ登場のとことかでちょっと工夫してますが、 全体としての立ち絵アクション系演出は特にはなし。しかしキャラデザずるいよなー。


スクリプト演出の話 (えろげ, ノベルゲーム)

↑の体験版の中で「はるかぜどりに、とまりぎを」「神奈備」 「はっぴぃ☆マーガレット!」「ツナガル☆バングル」は 間違いなくスクリプト制御による演出の重要性を理解した うえで、それを実行に移してます。

FAVORITE や ういんどみるはわりと以前からいろいろ模索してる流れの 中でですが、昨年〜今年は、立ち絵演出を細かくいれはじめている ブランドが全体的に増加傾向にあるように思います。ようやく時代が 「君が望む永遠」の age においついたといえるのかもしれません。

現実的には、シナリオ量の増加圧力に対してCG側が追従しきれず、 間をもたせることが困難になって、その対策として「スクリプトによる演出」 の強化が採用されているといったところでしょうか。スクリプト演出作業は 確かにコストはかかりますが間をうめるCGをつくるよりは軽いので……

スクリプト作業では各ブランドさんいろいろ苦労してるそうで……

聞いた実例A: 数人いるおかかえスクリプタが、長年の修錬の末、皆、プログラマクラスの技能を もっていて、シナリオを読みながらもくもくと細かいスクリプトで凝った演出を つけていく。ぱっと見同じような動きでも、スクリプトをみると人によって 全然記述が違うというのがざらでそれはそれで問題になってるとか^^; 蓄積のあるブランドにのみ許される大技。

聞いた実例B:凝った演出を考えるのは絵師でもある社長(プロデューサ)。 準備されてる素材を元にAE でムービーとして作成して渡されるので、 プログラマでもあるスクリプタがそのムービーを見ながら職人技で それを気合でスクリプトで再現する(一つ一つがかなり時間かかるらしい)

聞いた実例C:定番の演出はだいたい最初にきめてマクロ化し、コピペツールに登録して担当全員に配ってはめかたを支持。 作業はなるべく単純にして素人でも対応可能にしてある。 ここぞというところだけ職人さんクラスの人ががんばる。

……結局どこも職人技かよ!(苦笑) AE や Flash を使える人はふえているので、そのあたりの職人パワーが使えると いいのですが、エンジンがわのスクリプト手段がテキスト手打ちしか手段が無い のが壁になってしまっているようです。


ノベルゲームの定義 (ノベルゲーム)

それは狭義のノベルゲームであって、より一般的なのは広義のノベルゲームのほうではないでしょうか。 定義的には「物語の描写を主目的としたゲームの総称」あるいは 「文章・画像・音声を表現技法として融合して用いるゲームの総称」とかそのあたり。 ぶっちゃけるなら、そこに物語を感じるなら「ノベルゲーム」(笑)

この用法は新しいものではなくて、Key作品の人気が盛り上がったころ からずっと使われていると認識しています。 比較的古いテキストだとノベルゲームの分析とか。 日付はいってないですが、One か Kanon あたりの時期にかかれた テキストだったと記憶してます。

狭義のノベルゲーム、全画面にテキストを表示するスタイルは固有名称からの 転用ながら、「ビジュアルノベル」または「サウンドノベル」と呼ばれていることが 多いです。たとえばFate のジャンル表記は「伝奇活劇ヴィジュアルノベル」ですし、 ひぐらしは「サウンドノベル」と称しています。対してテキスト窓を使うものは「恋愛ADV」ですね。

この定義によるならば、たしかに現在のエロゲーとギャルゲーの ほとんどが「ノベルゲーム」になるわけですが、実際そういう扱い で考えている人が多数派だと思います。 演出技術論などを語るうえでもビジュアルノベルと恋愛ADVは、 その表記スタイルによる差についてはもちろん俎上に上りますが、 総体としては同一ジャンルとして語りますよね。 ほとんどがノベルゲームで、たまに RPG や SLG がある。 純正のADVに近いものは壊滅に近い。というのが実際的な認識だと思います。 そのうえで Key はコマンド選択ADVにちょっと回帰ぎみ、とかそういった話に なるのではないかと。



2007/09/16 (日)

続・ノベルゲームの定義 (ノベルゲーム)

「ノベル」という用語についての違和感については同感です(苦笑)。

狭義の「ノベルゲーム」の影響をうけて、従来型のADVが変質して (ADV的要素の削減+「立ち絵+背景」演出の流入+選択肢ベースのマルチシナリオ概念の流入)、 ONE のような「恋愛ADV」としてのスタイルが確立したときに、両方を広く含有する概念を示す 適切な用語をだれも提示できなかったため、「ノベルゲーム」という用語が受け皿になって 意味が拡散してしまったのだと思います。

結局のところ ADV の1ジャンルであるのはかわらないので、区別が難しいというのも おっしゃる通りだとはおもいます。ガイドラインをひくのは難しいですが・・・

  1. テキスト量が、地の文/会話を問わず多く、また十分長く意味をもって連続する(細かく分断されない)
  2. 立ち絵+背景絵/イベント絵などの画像による演出、またはBGMや効果音などの音楽による演出を持つ
  3. シナリオが分岐/ループなどの構造を持つ ※オプション
  4. 分岐を実現する要素は「選択肢」レベルの技法に限る ※オプション

こんなところではないでしょうか。 まず1.は必須。古典的ADVだと会話も地の文もあまり続かないのと、 あと、コマンド選択などによって、同じ会話がくりかえされたりするので除外されます。 2がないと、ただの「電子ブック」ですから、この要素も必須かなと。 3. と 4. は必須ではないですが、「ゲーム」とよばれる所以の多くはここにありますね。 3. を実現するための方法として、4. 以上のものがはいってきて、またその要素が ゲーム中で占める割合が強くなると「ノベルゲーム」とはみなされなくなってくると 思います。古典的ADV は探索とかアイテムとか複雑な要素があり、またその部分が 主要な要素ととらえられることから、この点でもはじかれます。

最終的には各人の感覚次第ですかねぇ



2007/09/17 (月)

続々・ノベルゲームの定義 (ノベルゲーム)

うーん、当時のことはすっかり忘れてるなぁ。 なんとなく fj の古いアーカイブをあさると、諸氏が議論してる ような気がするんだけどあさる元気はない^^; ちなみに私は NIFTY とは縁がさっぱりありません。

……自分の日記検索すりゃいいんだよな。

ということでおいらの記録における初出は 1999年。うーん、この雑誌、前の引っ越しのときに捨てた気がする。誰か持ってたら記事内容詳細プリーズ。 少なくともこの時点で、出版物において使われてた用語ということですね。 まあ、列挙内容からして鍵のことも普通にふくんでそうだよね。 画面構成は特に関係なく、議論においてターゲットを示すために必要なので、 あった単語を適当にもってきてはめた(連想的に、読み物>ノベル以上のものではない)といった印象。 今木さん説で正解な気がします。

うわ、やべえ、2000年に、white さんと、 このジャンルを指す用語について議論してる(大笑) しかしリンク先が切れている罠。探す・・・発見。 この用語は定着しませんでしたということで……

2001年で「」つきで用語をつかってるな。 たぶんこの時点でこの用語が全体として優勢だったのではなかろうか……。しかしよりによって 「ラストシーン」の話題かよ←わかる人はきっと友達になれる

で、「動物化したポストモダン」 が出版されてそれを読んだのがその半年後。この時点で用語としては定着しきったということか。 その後の私の文脈においてはもっぱら↑での「マルチレイヤー表現」についての話でばっかりでてきてる模様。

高橋さんは「ストーリー性」というのを勝手に用語の定義から引き出してしまってる気がします。 「物語の描写を主目的としたゲーム」と「ストーリー性のあるゲーム」は 軸が違うとおもうのです。ストーリー性があるのはあたりまえで、ストーリー性を 高める手段として、大量のテキスト+演出、を前面に出してきた作品群が ある時期から一気に増えて(そして今はほとんどがそれ)、そして、 それらをさして「ノベルゲーム」と呼んでいるのだ、という認識でいかがでしょう? ああ、そうか。ノベルゲームから一番切り離せないのはたぶん「テキストの物量」なのですよ。 どんなにストーリー性があっても、テキスト量が少なければ「ノベルゲーム」とはみなされないということで。



2007/09/18 (火)

Re:「ノベルゲーム」論で言いたかったこと (ノベルゲーム)

葉鍵的な「ノベルゲーム」語りはもはやおわった、 ということに特に異論はない……というか、囚われてる人って具体的にどこかにいますかね^^; 東氏の現状はシラネ。

「ノベルゲーム」でぐぐって片っぱしから記事を読んでいった時に得られる実感としては、 今やこの言葉に「葉鍵」の文脈ってほとんどつながってません。単純にゲームのジャンル表記の一種で、 自主制作と結びついてることが多く、特定作品と結びついてる場合はもっぱら「ひぐらし」。 あと、NScripter と 吉里吉里の解説本と関連してることが多い……あ、 いまなんかピンときた。この用語がこの形で普及した最大の原因って 実は「Nscripterではじめる ノベルゲーム制作 著:高橋直樹」 だったりしませんでしょうか(笑)。や、わりとまじで。

結局「エロゲ・ギャルゲADVの総称にまで拡大解釈」する人はいない、あるいはいても気にするような 影響力は持たないと思いますです。まあ「今でてるエロゲ・ギャルゲの大半はノベルゲーム」ってのは 私言いましたが、これって「ノベルゲーム」を ビジュアルノベルと恋愛ADVスタイルの 作品を包括させた単語として認識してたら、単なる事実ですし。


Re:演出とかいろいろ (吉里吉里)

ラクができるところはラクをする、というのはとても正しい考えかただと思います。 私も、なにか仕事の依頼がきたときは、まず、使えそうなフリーのライブラリを探すことから始めます^^; ただ、いかんせん、素のKAG は「商用レベルの完成度に達してない」というのが私の結論なので、 そのままの部分が改良されずに多数残っていると、減点対象なわけです。あと該当作の場合、 あからさまにスキップが重くて変な処理仕込んでるとしか思えないので……。

要求事項が明確なら、特に全く顔をあわせなくても仕事はできるのですが (実際私が受けてる仕事の中には先方と直接会ったことが1度もないものがあったりします)、 特殊な機能とか、新規の機能とかについては、デザイナーさんやスクリプターさんと細かく調整は したいですね。あとは「雇われ」状態というのは悩ましいですね……。 私の場合は、エンジンの技術研究は半分以上私の趣味で、好き勝手つくって、 こんな機能つくってみたけど、どうでっしゃろ?と、むしろお仕事先の各ブランドさんはひとば(ゲフンゲフン)。

スクリプトを楽に誰にでもできるようにするのも重要ですね。 私もいまだ課題としてあげつづけていて、日々模索中です。 ただ、これ自体は、演出と特に相反するものではないはずです。 むしろ楽になると演出できる余裕が増えるってもんです。 そのうえでどういった演出をすればいいか、ですが、これについては 「なるべくたくさん他社の作品に触れましょう」としか^^; 同じ日にふれた他の作品、たとえば「ツナガル☆バングル」や「はっぴぃ☆マーガレット!」 とかの体験版を実際に遊んでみて比較してみるとかいかがでしょう。 同じ吉里吉里ベースなら「めいくるッ!」あたりも参考になるかと。



2007/09/20 (木)

Re:「ノベルゲーム」論で言いたかったこと (ノベルゲーム)

むむ、比較的最近でしたか。失礼しました。

となると吉里吉里本(2003年)のほうのがまだ可能性はあるのかな。 同人系の作り手側が、これだけ軒並みVNも恋愛ADVもとりまぜて「ノベルゲーム」 で通ってしまっているのは、このあたりのツール系のドキュメントに原因があるんじゃないかなと 思ったのでした。どうも Yuuki! Novel や DNML あたりも該当しそうです。それらのツールの ドキュメントの詳細では「ADVタイプ」「ノベルタイプ」として区別の説明があるのですが、 冒頭の紹介部分や売り文句ではひっくるめて「ノベルゲームがつくれるツール」となってます で、これがそのまま定着したのではないかと。NScripter 本ふくめて、書籍のタイトルにも いろいろつかわれてる現状、このスタイル全般を合わせて「ノベルゲーム」と呼ぶ流れは 今後もたぶん変わらないと思います。葉鍵は遠くなりにけり。

このへんでこのネタも発散かな。 微妙に関係してそうな?技術論にリンクをしてお茶を濁して終了(笑)




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